劇場をつくるラボ
ー全国の福祉施設と鑑賞体験を考えるー
「劇場をつくるラボ(通称:劇つく)」は、さまざまな人の身体と表現、舞台芸術の創作、発表、鑑賞の場への参加に ついて考える研究事業です。重度の障害を含め、障害のある人の芸術文化の場への参加に、どのような課題があるのか、どのように取り組んでいけばいいのかを考えるコミュニティ活動として、2021年2月に始動しました。全国の福祉施設や教育関係者、専門家の方のお力をかりながら、子どもから大人まで、障害のある人も一緒に参加する上映会やワークショップ、トーク イベントなどを実施してきました。
活動について
【参加者募集中】2025年(2024年度)
2025年(2024年度)は、長野県で3つのイベントを開催します。身体表現を 軸に、さまざまな人が「地域の劇場」「教育の現場」「福祉施設」で創作や発表、鑑賞などに 参加するプログラムをどのように設計していけるのかを考える実践講座です。ぜひご参加ください。
3つのプログラムをそれぞれ別の会場と日程で実施します。全てのプログラム通し受講もできますし、単発でのご参加も可能です。
・プログラム①地域の劇場を起点に考える、インクルーシブなプログラム
・プログラム②「ともに学ぶ教育」を文化芸術から考える
・プログラム③福祉施設で重度の障害のあるメンバーと身体表現にとりくむ
3つのプログラム、どの回も、現場で「身体表現」を取り入れたインクルーシブな企画を実施したい、教育関係者、劇場・文化施設関係者、福祉関係者の方、障害のある方のご家族、障害児の保護者で身体表現のプログラムにご興味のある方におすすめです。
エピソード募集

「表現が生まれた瞬間」のエピソード、募集してます!(2025年8月31日まで)
劇つくでは、教育や福祉などの現場で「表現が生まれた瞬間」を募集しています。応募いただいたエピソードは漫画や文章にして、9 月に完成予定の冊子やWEB に掲載させていただくことがございます。(匿名でも大丈夫です。)
お申し込みとサポートについて
・各回 参加無料です。
・お昼を挟むプログラムでは、ランチ休憩を設けます。お昼ご飯は持参されるか、周辺の飲食店で各自お取りください。
・各プログラム、それぞれ座談会とワークショップで構成されています。
・開場は30分前からです。
・【要申し込み】メールか下記のフォームから開催1 週間前までにお申し込みください。
・メールの場合、件名に「劇つく申し込み」、本文にお名前・ご所属・年齢・参加人数・参加プログラムを記載の上、お申し込みください。
・定員は、各回30名程度(定員埋まり受付次第終了となります。)
・本イベントでは文字支援を予定しています。そのほか、参加に際して不安なことや必要なサポートがございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。
・お申し込みフォーム:https://forms.gle/inFsGAUJg2ExWbBQ8
・メール:tfa@precog-jp.net
・電話:03-3528-9713 (「劇つく担当者」宛/ 平日10:00-17:00)
プログラム①地域の劇場を起点に考える、インクルーシブなプログラム
劇場や文化施設をどのように「ひらく」のか
劇場など地域の文化的拠点で、多様な地域の人にひらかれたインクルーシブなプログラムを実施してきた団体や劇場プロデューサー、アーティストをお招きした座談会とイギリスのカンパニーparagon メンバーによる「障害のある人とのダンスワークショップを企画する人のためのダンスワークショップ」を行います。
7 月13 日(日)13:00-18:00
場所:サントミューゼ多目的ホール(Googlemap)
ゲスト
Paragon
スコットランドを拠点に、音楽とダン スを通じてすべての人に創造の場を提 供する芸術団体。世界各地でパフォーマ ンスやワークショップを行い、障害のある 人の自己表現と社会参加を支援する
Ninian Perry(クリエイティブ・ディレクター兼CEO)
Paragon 創設メンバーであり、インク ルーシブ音楽を軸に世界各国で7500 名を超えるパートナーと創作。メキシ コ、インド、イタリアの障がい者団体 と連携し、学際的な事業を手がける。
アライカリュウ 晶子(パラゴン ダンス・プラクティショナー)
NY でコンテンポラリーダンサーとし て活動。帰国後、「クリエイティブ・ムー ブメント」を軸としたカリキュラムの 開発や指導など、教育や創作の現場で 広くインクルーシブダンスを実践する。
恵志美奈子 (世田谷パブリックシアター劇場部 創造環境開発担当)
世田谷区下馬地区の福祉法人等と共に、都営下馬 アパートを会場に、地域コミュニティの多様性や 他者を知ることを目的にしたアートフェスティバ ル” 極楽フェズ”(2021 年~)を立ち上げ。
森田かずよ(俳優・ダンサー)
先天性の障害を持って生まれる。自身の身体と向き合いながら、表現の可能性を考え続ける。「Performance For All People.CONVEY」主宰。ダンスカンパニーMi-Mi-Bi所属。演劇・ダンスの領域を超えて国内外の多数の公演に出演し、TVなどメディア出演も多数。
東京パラリンピック開会式ソロダンサー。NHKドラマ『パーセント』出演。
障害のある人を含め、様々な方を対象としたダンスのワークショップを日本各地で展開。
現在、大阪大学人文学研究科人文学専攻博士後期課程在籍中
プログラム②「ともに学ぶ教育」を文化芸術から考える
「副学籍」をキーワードに、教育現場でのプログラムづくりについて対話する
特別支援学校に通う児童生徒が自宅近くの小中学校にも籍を置き、地域の一員として学び合う「副学 籍」で、どんな授業をすればいいのか。佐久市出身の楽器インターフェース研究者、障害のある人た ちとダンスをしてきた経験のある佐久市在住ダンサーにそれぞれヒントをもらいつつ、伊那養護学校 特別支援教育コーディネーターと、文化芸術と学校現場をつなげる取り組みを行っている実践者、イ ンクルーシブ教育の専門家を交えて、考えます。
7 月27 日(日)10:30-16:30
場所:佐久平交流センター 音楽室(Googlemap)
ゲスト
金箱淳一(楽器インターフェース研究者)
玩具会社、美大助手を経て、神戸芸術工科大学准教授。障がいの有無を問わず音楽を楽しむための「共遊楽器」を研究。旧浅科村出身。
伊達麻衣子&竹田栄次(コンテンポラリーダンサー)
佐久市望月在住、それぞれドイツのTheater Thikwa、SZENE 2WEIで障害のある人とともにダンスをした経験がある。
中西麻友(NPO法人芸術家と子どもたち事務局長)
2011 年 3 月より 「NPO 法人芸術家と子どもたち」 に入職。
ワークショップ・コーディネーターとして、 学校 (特別支援学級含む) や幼稚園、 保育園、 児童養護施設、 障害児入所施設、少年院等、学校教育や児童福祉、矯正教育の現場のほか、小児病院や地域の子どもたちの居場所に関わる事業を担当。
WEB:https://www.children-art.net/
塩入健(伊那養護学校 特別支援教育コーディネーター)
小・中学部すべての児童生徒に副学籍がある伊那養護学校で副学籍を含めた地域化推進を担う。前任の伊那北小学校では、副学籍の受け入れ側として尽力した。
野口晃菜(インクルージョン研究者)
博士(障害科学)/一般社団法人UNIVA理事/戸田市インクルーシブ教育戦略官/中央教育審議会教育課程企画特別部会委員/東京学芸大学非常勤講師。小学校6年生の時にアメリカへ渡り、障害児教育に関心を持つ。高校卒業後に日本へ帰国、筑波大学にて多様な子どもが共に学ぶインクルーシブ教育について研究。小学校講師、株式会社LITALICO研究所長を経て、現在一般社団法人UNIVA理事として、学校、教育委員会、企業などと共にインクルージョンの実現を目指す。共著に「障害のある10代のための困りごと解決ハンドブック」(現代書館)「学校全体で挑む「誰ひとり」取り残されない学校づくり」(明治出版)「「LD(ラーニングディファレンス)の子がみつけた勉強法」(合同出版)「差別のない社会をつくるインクルーシブ教育」(学事出版)などがある。
プログラム③福祉施設で重度の障害のあるメンバーと身体表現にとりくむ
生活の中にある、ゆたかな、日々の表現
福祉施設で身体表現のプログラムを実施するには?福祉施設の運営スタッフとしてさまざまな表現活 動に取り組む実践者のトークに加え、長年、重度の障害のあるメンバーとともに、演劇の活動を行っ ているたんぽぽの家の佐藤拓道さんとHANAPLAY のメンバーをお招きして、参加者に向けた演劇の ワークショップを行います。
8 月23 日(土)11:00-16:00
場所:佐久市生涯学習センター(Googlemap)
ゲスト
HANA PLAY
たんぽぽの家アートセンターHANA で行っている演劇プログラム。毎 週火曜日、10 名ほどのメンバーと演劇創作を行っている。昔話をもと にした作品や即興演劇、近年ではメンバーそれぞれの経験談をもとに した作品も創作している。その他、メンバーが登壇して講演を行ったり、 演劇プログラムの手法を用いたワークショップも行なっている。
佐藤拓道 (〈たんぽぽの家アートセンターHANA〉副施設長)
障害のあるメンバーのケアに携わりつつ、俳優としても活動。また、 たんぽぽの家では「HANA PLAY」と題した演劇プログラムを担当し、 障害のあるメンバーの暮らしや人生の経験に基づいたオリジナルの演 劇作品を創作。様々な場所で公演を行っている。その他にも施設外で の演劇ワークショップ、講演なども行なっている。
藤原佳奈 (戯曲作家・演出家)
「松のにわ」代表。 わたしたちの〈はたらき〉を聴き、再編し、上演の場をひらく。 能楽堂や取り壊し予定のアパート、居ぬきスナックなど、様々な場所で劇場の機能を検証し、人が集い言葉を交わす場をひらきながら、現代における上演を問い直している。とよはし芸術劇場 ⾼校⽣と創る演劇『Yに浮かぶ』脚本・演出(2021)。神奈川県主催 分⾝ロボットOriHime プロジェクト『星の王⼦さま』脚⾊・演出(2022)。
原田修 (浅間学園施設長)
2011年5月社会福祉法人育護会浅間学園に入職し、障がいがある方との日常を過ごすようになる。その日常の中で、障がい福祉の歴史や入所施設というある意味社会とかけ離れた常識を目の当たりにする。昭和29年の児童施設時代から続いている良い部分とあからさまにずれている部分を施設内で訴えながら人間が生きる理由について入所者と共に考えた日々を過ごす。その中で、言葉や意味ではなく、感じる力を伸ばす組織に重要性を感じ、感性で繋がることに意味を持ち、障がいがある方にとっての社会資源を増やしていくための活動を続けている。(あさまバンド・焚火の会・スペシャルオリンピックス他)
2023年
知的障害や発達障害のある人たちも一緒に映像鑑賞を楽しむためにはどんな工夫ができるだろう? そんな問いから、障害のある人たちとともに鑑賞するワークショップ型上映会の開発に取り組みました。
「映画館では、声を出さずに静かに鑑賞しないといけない」「映像はじっと画面に向き合って観るもの」こうした感覚が社会の当たり前になっているかもしれませんが、必ずしも全員にとっての当たり前ではないはずです。
そこで、2022年に制作したアニメーション作品『PAPER?/かみ?』や映画を鑑賞しながら、声や体、身の回りにあるものを使って、作品に音をつけて鑑賞する「音で遊べるワークショップ型上映会」を開発し、5箇所で上映会を開催しました。
ワークショップ型上映会の様子

劇場をつくるラボ2023 記録集
「音で遊べるワークショップ型上映会」紹介映像・記事
2022年
福祉施設の利用者とのワークショップ体験を元に「どんな人に鑑賞してもらうのか」を考えながら作品作りにも挑戦しました。
前年の事業を通して、そもそも知的・発達障害のある方を鑑賞者として想定した作品自体がほとんどない、ということにわたしたちは気づきました。そこで、2022年度の「劇場をつくるラボ」では、音楽家・蓮沼執太と映像作家・水尻自子とともに、一方的に鑑賞するだけではないアニメーション作品『PAPER?/かみ?』を制作。福祉施設での日常に目を向けながら、当事者も介助者も、小さい子どもも大人も、誰もが共に過ごす時間が生まれることを目指し、制作したアニメーション作品の上映会とワークショップを実施しました。
いんば学舎・陣屋(千葉県印西市)でのワークショップの様子 撮影:南 阿沙美

劇場をつくるラボ2022 「福祉施設での上映会とワークショップ『PAPER?/かみ?』記録集」
2021年
2021年度は、建築家の山川陸をディレクターに、板坂留五・梅原徹・渡辺瑞帆らをクリエイターチームに迎えて、主にセノグラフィーの視点から検証と実践を繰り返ことで、福祉施設における「劇場」づくりに挑戦しました。施設スタッフの方のご意見や、施設利用者の方の体験結果レポートなど、それぞれの環境に対して幾通りものアプローチが生まれました。鑑賞体験の先に、利用者の新たな側面との出会いや介助者との関係性を変えるような発見もありました。

劇場をつくるラボ2021 記録集
2021年の活動報告書が完成しました。
ぜひご一読ください。
「劇場をつくるラボ」紹介動画・記事
2022年2月に奈良県の福祉施設・たんぽぽの家と取り組んだトライアルの様子を中心に、プロジェクトを紹介した映像です。
全国の連携パートナー

メディア掲載
クレジット
2025(2024年度)
主催:一般社団法人DRIFTERS INTERNATIONAL
企画・制作:株式会社precog
助成:森村豊明会
後援:長野県教育委員会/ 上田市/ 佐久市/ 佐久市教育委員会
協力: ざこうじるい
企画アドバイザー: 鈴木励滋
2023
ワークショップ型上映会デザイン/アドバイザー/ファシリテーション:佐藤拓道(たんぽぽの家アートセンターHANA 副施設長)
ワークショップ型上映会デザイン/プロジェクトマネジメント/ファシリテーション:栗田結夏
ファシリテーション協力/楽器提供/アドバイザー:NPO法人リベルテ
佃梓、馮馳
上映会パートナー:
社会福祉法人育護会 浅間学園:原田修(施設長)、川井孝幸
軽井沢町保健福祉複合施設 木もれ陽の里
軽井沢町保健福祉課 福祉係
社会福祉法人愛泉会 軽井沢治育園:井出和美(施設長)、川村俊介、阿部怜奈
軽井沢町社会福祉協議会 地域活動支援センター:塩川早人
社会福祉法人みぬま福祉会 川口太陽の家:小嶋芳維
機材協力:社会福祉法人育護会 浅間学園
作品提供協力:別府短編映画祭
上映作品提供:
『PAPER?/かみ?』:一般社団法人DRIFTERS INTERNATIONAL
『大怪獣ブゴン』:別府短編映画祭
『Fruits of Clouds』:NEW EUROPE
記録映像・写真:村上邦久、たけなかあいこ(|+|=| STICK AND LADDER S.A.) 、輕井澤二十四節氣
報告書編集:春口滉平
報告書デザイン:綱島卓也
企画・制作:株式会社precog(THEATRE for ALL事務局)
企画ディレクション:中村茜
プロデューサー:星野麻子、兵藤茉衣
プロジェクトマネジメント:林芽生
文化庁令和6年度「文化庁障害者による文化芸術活動推進事業」
主催:文化庁、一般社団法人DRIFTERS INTERNATIONAL
企画:一般社団法人DRIFTERS INTERNATIONAL
運営:THEATRE for ALL事務局(株式会社precog)
2022
音楽:蓮沼執太
映像:水尻自子
音響・コミュニケーションプログラム :梅原徹
コーディネーター:米津いつか
企画・制作:株式会社precog(THEATRE for ALL事務局)
プロデューサー:金森香
プロジェクトマネジメント:和久井碧 林芽生
企画アドバイザー:山川陸
事業アドバイザー:長津結一郎
助成:公益財団法人森村豊明会
協力:社会福祉法人印旛福祉会 いんば学舎・陣屋
主催:一般社団法人DRIFTERS INTERNATIONAL
2021
ディレクター:山川陸(建築家・一般社団法人DRIFTERS INTERNATIONAL アソシエイツ)
クリエイターチーム:板坂留五 梅原徹 渡辺瑞帆
トライアル実施パートナー:
たんぽぽの家:佐藤拓道 中島香織 大井卓也
生活介護事業所 ぬか つくるとこ:丹正和臣 湯月洋志
社会福祉法人 愛成会:青木信(指定障害者支援施設メイプルガーデン) 玉村明日香
やまなみ工房:小西康文 棡葉朋子 棡葉昌大
社会福祉法人 安積愛育園:小林竜也(はじまりの美術館) 折笠弘海 佐藤雅俊(多機能支援センター ビーボ)
報告書編集:春口滉平
報告書デザイン:綱島卓也
企画・制作:株式会社precog(THEATRE for ALL事務局)
プロデューサー:金森香
プロジェクトマネジメント:兵藤茉衣 林芽生 黒木優花
協力:MotionGallery
主催:一般社団法人DRIFTERS INTERNATIONAL
クラウドファンディングにてご支援いただいた皆様
今井 浩一、星野 麻子、Asano、ajust_567_zero、Kimiko Watanabe、Masato Ababa Uenosono、小松原 修、Hama Tomoko、佐藤 拓道、大川 知沙子、春口 滉平、masaki Yuma Matsukawa、風呂本 諒亮、Keita Takizawa、Rika Tomita、若杉 賢一、石幡 愛、金川信亮、松原 健一、川上 晃弘、Nakata Kazue、Tamotsu Machida、Chie Yasuoka、Ogawa Shigeru、服部 英俊、八木 信行、よー、ちゃんめん、渡辺 瑞帆、飯野 貴明、ミー、株式会社おおきに野寄聖統、ヒロヒロ、 Atsuko Moriguchi、上村 和孝、Natsumi Wada、ai、砂山 太一、 ayya、木内 俊克、やぎ、石渡 麻美、大井 卓也