STAGE for ALL

ワークショップ講座

オンライン講座の事前受講後、関心に応じて選べる1泊2日の合宿形式講座を実施します。作品上映やワークショップ、視察などを通じて、障害のある人との表現や鑑賞について専門家や当事者と共に考え、対話を重ねます。座談会や感想シェアも行い、学びを現場に活かすことを目指します。

日程:東京|2026年1月24日(土)〜25(日) 、奈良|2026年2月21日(土)〜22(日)
受講料:一般15,000円、U29 12,000円     
    ※宿泊・交通費補助あり(上限30,000円)
アクセシビリティ:手話通訳 ※手話通訳が必要な場合、申し込み時にお知らせください。
定員:各回15名程度
申し込み締切:11月28日(金)

※オンライン講座とのセット受講を推奨
※コースA、コースBからお選びいただきます
※3月12日(木) 2コース合同のオンライン成果発表会実施予定

プログラム内容

コースA|身体や心をつなぐ翻訳と対話。情報保障と鑑賞の先の対話を考える

見えない人、聞こえない人、ろう者を含む多言語話者。日本の舞台芸術の現場において、作品をたくさんの人に届けるためのアクセシビリティは、十分であるとはいえません。バリアフリー字幕や音声ガイド、手話通訳、そのほか、劇場に足を運んでもらうためのさまざまな工夫について知り、実践者の声を聞き、アクセシビリティを前提とした社会のあり方や、多様な人々が共に表現を楽しむための環境・手法について、受講生と共に考えます。

日程:2026年1月24日(土)〜25(日)
会場:CINEMA Chupki TABATA ほか
             (東京都北区東田端2丁目8−4)
ゲスト
平塚千穂子(CINEMA Chupki TABATA)
彩木 香里 (ものがたりグループ☆ポランの会代表/合同会社nubo代表)
Sasa Marie(手話による「てことば」で詩を紡ぐ人、ミュージック・アクセシビリティ・リサーチャー)
額田大志(作曲家・演出家・劇作家)


コースB|重度の心身障害のある人と創作すること、日常とケアのあわいの表現

奈良県にあるたんぽぽの家で演劇の活動をしているHANA PLAY。障害のある演劇メンバーとディレクターの佐藤拓道さん、スタッフのみなさんとの創作の現場におじゃまし、重度の障害のあるメンバーとの創作活動を体験します。福祉施設の日常の中からどのようにしてユニークな作品が生まれるのか、ぞれぞれのメンバーの「表現」がどのように演劇として紡がれていくのか、普段は創作活動に直接関わらない企画者・制作者の方にも体験していただきたい講座です。

日程:2026年2月21日(土)〜22日(日)
会場:たんぽぽの家 アートセンターHANA
   (奈良県奈良市六条西3-25-4)
ゲスト
佐藤拓道(〈たんぽぽの家アートセンターHANA〉副施設長)
森田かずよ(ダンスカンパニーMi-Mi-Bi)
福角幸子(ダンスカンパニーMi-Mi-Bi)
も(ダンスカンパニーMi-Mi-Bi)


特別視察プログラム|アクセシビリティコーディネーターともに巡る、国際芸術祭「あいち2025」の演目のアクセシビリティ

「ワークショップ研修講座」参加者のうち希望者に対し、国際芸術祭「あいち2025」のパフォーミングアーツ部門の鑑賞サポート付き公演の視察研修を実施します。「あいち2025」のパフォーミングアーツプログラムでは、リラックスパフォーマンスの回を導入するなど、アクセシブルな舞台芸術プログラムの提供を目指しています。会期中のアクセシビリティ・鑑賞サポート付き公演の視察ツアーを行うことで、受講者にリアリティをもって文化芸術のアクセシビリティを体感いただきます。

日程:2025年10月13日(月・祝)
会場:愛知県芸術劇場 小ホール(B1F)
受講料:3,500円 ※「ワークショップ講座」参加希望者のみが参加可能です。
視察作品:オル太『Eternal Labor(エターナル・レイバー)』
定員:10名程度
申し込み締切:9月15日(月・祝)
※実施は12:00〜16:15頃の予定です。詳細は参加者にご案内いたします。
※15:00開演の公演チケットを事務局が購入済みです。チケットは受講料に含まれます。

※応募者多数の場合は抽選となります。参加の可否は、お申し込み締切から1週間程度を目安にご連絡いたします。参加が確定された方には、専用の決済フォーム(Peatix)を別途ご案内いたしますので、期日までに受講料をお支払いくださいますようお願いいたします。

企画監修

長津 結一郎

九州大学大学院芸術工学研究院准教授

多様な関係性が生まれる芸術の場に伴走/伴奏する研究者。専門はアーツ・マネジメント、文化政策。障害のある人などの多様な背景を持つ人々の表現活動に着目した研究を行なっているほか、ワークショップに関する教育、演劇・ダンスのマネジメントやプロデュースにも関わる。著書に『舞台の上の障害者:境界から生まれる表現』(九州大学出版会、2018年)

写真撮影:Junpei Iwamoto

NPO法人DANCE BOX 事務局長/「こんにちは、共生社会(ぐちゃぐちゃのゴチャゴチャ)」プロジェクト・チーフ

神戸新長田の劇場「ArtTheater dB KOBE」を拠点に、コンテンポラリーダンスのアーティストの育成事業や、障がいをもつ人や国籍の違う人・地域の人とつくる事業を展開。ダンスと身体、表現と社会、人と地域と劇場が出会い拡張する現場を考え続けている。障害者との活動は、「循環プロジェクト」(~2012)を経て、現在はダンスカンパニー「Mi-Mi-Bi」「やさしいコンテンポラリーダンスクラス」にも伴走中。

ゲストプロフィール

 

平塚千穂子

CINEMA Chupki TABATA

早稲田大学教育学部教育学科卒業後、飲食店や映画館に勤務。チャップリンの『街の灯』を視覚障害者と共に観るバリアフリー上映の企画をきっかけに、2001年 ボランティア団体 City Lightsを設立して視覚障害者の映画鑑賞環境づくりに着手。2016年 日本初のユニバーサルシアターCINEMA Chupki TABATA を設立。第24回 ヘレンケラー・サリバン賞、2017年 日本映画ペンクラブ賞 特別奨励賞、2018年 バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進功労者 内閣府特命担当大臣表彰 優良賞受賞。2021年『こころの通訳者たち』を製作し、2022年度 山路ふみ子映画賞 福祉賞、文化庁芸術選奨文部科学大臣新人賞(芸術振興部門)受賞。2023年 第21回 読売福祉文化賞受賞。

彩木香里

ものがたりグループ☆ポランの会代表/合同会社nubo代表

2004年 ものがたりグループ☆ポランの会旗揚げメンバー。
主にメンバーが企画、制作、出演し、宮澤賢治作品の上演を通してチャレンジする過程を大切にした創作活動を行っている。2014年から音声ガイド付き上演を重ね、2022年からは、さまざまなアクセシビリティを付けた公演、
『手話と音楽と語りで綾なすライブセッション』を上演。ナレーターとして(株)ヘリンボーンに所属。テレビの音声ガイドナレーションに携わったことがきっかけとなり、JVTA日本映像翻訳アカデミーのバリアフリー講座を受講。現在、新国立劇場、東京芸術劇場、世田谷パブリックシアター、穂の国とよはし芸術劇場PLAT、東京芸術祭などの舞台公演や、公演映像のAudio Description writerとしても活動している。映画 こころの通訳者たち ~What a Wonderful World~ に出演。

Sasa Marie

Sign Poet(手話による「てことば」で詩を紡ぐ人)、音楽アクセシビリティ研究者、 視覚で伝えるろう者の芸術を広める当事者ユニット、ミナテマリ代表

ろう詩人、サインポエット(手話による「てことば」で詩を紡ぐ人)。でんちゅう組この指とまれ担当。音楽アクセシビリティ研究者。 東京文化会館リラックス・パフォーマンス ろうナビゲーター。 九州大学大学院芸術工学府博士課程後期在学中。 2024年4月よりろう俳優河合メアリとともに、視覚で伝えるろう者の芸術を広める当事者ユニット「ミナテマリ」として、詩、音楽、身体表現などさまざまなワークショップを実施。 「でんちゅうさんシリーズ」、「めでみることばで詩を叫べ」など、 てことば、からだ、こえ、おんがくなどによる五感で感じる空間インスタレーションとポエトリー・リーデイングを展開。 クラシック音楽が大好き。クラシック音楽の楽しみ方、実はロックなところ、見えてくる風景などを伝えられるよう“音楽の翻訳”に取り組む。

©︎Yuta Itagaki(KIENGI) / Mana Hiraki(KIENGI)

額田大志 

作曲家・演出家・劇作家

1992年東京都出身。東京藝術大学在学中にコンテンポラリーポップバンド『東京塩麹』結成。FUJI ROCK FESTIVALの出演などを経て、これまでに3枚のアルバムをリリース。2016年から演劇カンパニー『ヌトミック』を率い、音楽のバックグラウンドを活かした劇作と演出で、音楽劇の枠組みを拡張する作品を発表している。『それからの街』(2016)で第16回AAF戯曲賞大賞、『ぼんやりブルース』(2021)で第66回岸田國士戯曲賞最終候補作に選出。古典戯曲の演出で、こまばアゴラ演出家コンクール2018最優秀演出家賞を受賞。

佐藤拓道

(〈たんぽぽの家アートセンターHANA〉副施設長)

障害のあるメンバーのケアに携わりつつ、俳優としても活動。また、 たんぽぽの家では「HANA PLAY」と題した演劇プログラムを担当し、 障害のあるメンバーの暮らしや人生の経験に基づいたオリジナルの演 劇作品を創作。様々な場所で公演を行っている。その他にも施設外で の演劇ワークショップ、講演なども行なっている。

森田かずよ

ダンスカンパニーMi-Mi-Bi

ダンサー・俳優。先天性の障害を持って生まれ、18歳より表現の世界へ。演劇・ダンスの枠を超えて国内外の公演に出演。東京パラリンピック開会式ソロダンサー。NHKドラマ『パーセント』出演。「こここ」にて「森田かずよのクリエイションノート」を連載中。多様な身体を対象としたダンスのワークショップを日本各地で展開。また国際交流基金舞台芸術国際共同制作オブザーバー、障害者文化芸術活動推進有識者会議構成員を務めるなど多様な人が交わる創作現場に身をおき、環境整備にも関わる。神戸大学で修士号(学術)を取得。2024年より大阪大学人文学研究科人文学専攻博士後期課程在籍中。NPOピースポット・ワンフォー理事長。ダンスカンパニーMi-Mi-Bi所属。「Performance For All People.CONVEY」主宰。

福角幸子

ダンスカンパニーMi-Mi-Bi

神戸市に生まれる。脳性マヒによる手足、言語障害をもちながら自立生活を始める。結婚後、奈良たんぽぽの家、わたぼうし語り部学校に入学。その後、語り部として各地で公演するほか、絵本『めざしのジョニー』学習研究社より出版。舞台の活動は、エイブルアート・オンステージ日英共同企画飛び石プロジェクト公演『血の婚礼』、じゆう劇場、トリコ・A『へそで、嗅ぐ』、ダンスボックス主催「循環プロジェクト」「Thikwa+Junkan Projekt」に参加し国内外の公演に出演。2022年より「ダンスカンパニーMi-Mi-Bi」メンバーとしても活動。人との出会いの中で「幸子WORLD」を築きたい。

写真撮影:菅野恒平

ダンスカンパニーMi-Mi-Bi

俳優でもなくダンサーでもなく、パフォーマンスアーティストでもなく、ただの人が、ただの生き物として舞台に立ち、その責任を果たしていることがある。冷戦期の台北で子ども時代を送る。バブル期の頃は東北のごみ焼却場で働いていた。東日本大震災の翌年、東京から京都に引っ越した。舞台芸術にはまったく興味がなかった。ある時からコンタクトインプロビゼーションのワークショップに継続的に参加、時々舞台に立つようになった。ただの生き物として。