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視覚に障害があっても楽しめる「さわれる」芸術作品とは?(光島貴之さん)

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投稿日:2024/03/01

はじめまして。THEATRE for ALL 編集部の渡部里美です。
ADHD、ASD混合の広汎性発達障害とうつ病を抱えており、サニーバンク会員のライターとして今回参加しております。

THEATRE for ALL LABでは、障害当事者の方にお話を伺い、自分とは別の障害当事者さんの視線に立って芸術とアクセシビリティについて学びたいと思います。

今回の「100の回路」では、視覚障害当事者であり、美術家・鍼灸師として活動をしている、京都府在住の光島貴之さんにお話を伺いました。

「100の回路」シリーズとは?

回路という言葉は「アクセシビリティ」のメタファとして用いています。劇場へのアクセシビリティを増やしたい我々の活動とは、劇場(上演の場、作品、そこに巻き起こる様々なこと)を球体に見立てたとして、その球体に繋がる道があらゆる方向から伸びているような状態。いろんな人が劇場にアクセスしてこれるような道、回路を増やしていく活動であると言えます。様々な身体感覚・環境・価値観、立場の方へのインタビューから、人と劇場をつなぐヒントとなるような視点を、“まずは100個”収集することを目指してお届けしていきたいと思っています。

「さわることが出来る芸術作品」という物に出会ったことはありますか?
視覚障害がある光島貴之さんという芸術作家の作品は、実際に作品に触れることが出来ます。

光島さんの「さわれる」作品に込められた思いについて、伺いました。

光島さんの写真です。笑顔です。左手で紙をさわりながらラインテープを使って作品を作っています。

光島貴之(みつしま・たかゆき)

1954年京都府生まれ、在住。10歳頃に失明。大谷大学文学部哲学科を卒業後、鍼灸院開業。1992年より粘土造形、1995年より製図用ラインテープとカッティングシートを用いた「さわる絵画」の制作を始める。1998年「‘98アートパラリンピック長野」大賞・銀賞を受賞。他作家とコラボレーションした「触覚連画」の制作や、「触覚コラージュ」といった新たな表現手法を探求している。
2020年1月、ギャラリー兼自身の制作アトリエとなる「アトリエみつしま」を開業。バリアへの新しいアプローチを実践する拠点となることを目指して、活動の幅を広げている。

 

「作りたい」「見たい」「動きたい」をぐるぐる回っています

10歳の頃までは、約1m先の色や、人の輪郭は見えていたという光島さん。
本業は鍼灸師をされています。

 

美術家へのきっかけを聞いてみると、幼稚園時代に参加した絵画教室で思うように描けなかったとのこと。しかし、小学校から盲学校に進学し、工作や美術の時間を過ごす中で、ご自身で「作りたい」という気持ちが芽生えたそうです。
大学生の頃には友人とピカソの絵を観に行き、「見たい(鑑賞したい)」と思うようになりました。

 

そして、1982年に鍼灸院を開業してからも、鍼の仕事だけでは物足りず、ギャラリーTOMや野外彫刻、さわる美術展などにたびたび足を運ぶうちに、「作りたい」との思いが再び湧き出し1992年の粘土、1995年のラインテープ作品の制作へと繋がりました。

 

「ラインテープとカッティングシートで描くようになってから、ミュージアム・アクセス・ビューという、見える人と一緒に美術鑑賞をする活動に参加し始めました。

その活動を通して、世の中にこんな作品があるんだなということを知り、もっと大きな絵を描きたい、インスタレーションもやってみたいと思うようになりました」

 

「さわることは動くこと」とおっしゃる光島さんは、ダンサーの方とのコラボレーションも行っています。

ダンサーと行なったワークショップの際の写真です。写真左側に、左を向いて目を閉じて両手をあげているダンサーがいます。写真右側に光島さんがいて、ダンサーの後ろから両手を挙げてダンサーに触れようとしています。
Photo: Toshie Kusamoto

「ワークショップでは、さわることに注目しながら触覚絵本を作ったり、手ざわりのカードで今の気持ちや日常の出来事を表現してもらいます。

さわることは、手を動かし、からだ全体も動かすことに繋がります。体を動かすことに興味を持ち始めたぼくは、最近ではダンサーとのコラボレーションも始めました。お互いに声を掛け合い、即興で踊ったり、描いたりするのです。展覧会場の中を、声を出しながら動き、見えない人にも動きが伝わるようにしています」

 

筆者はそれを初めて聞いたとき、全くイメージが出来ませんでした。音に合わせてダンサーのように踊るのかと思い、どうやって実現させているのだろうと強く関心を持ちました。

 

実際に光島さんのワークショップ動画を拝見してみると、それはダンスでありながら官能的、神秘的なミュージカルや舞踊のようでした。

 

ダンサーの方は見える方です。光島さんとは鈴の音や靴の音を鳴らして、距離を詰めたり離れたりします。その音を頼りに、その音を頼りに、光島さんも近付いたり、ダンサーにさわったりします。触れ方は繊細ですが、ありとあらゆる情報をそこから得ようとしているのが判ります。

作りたい、見たい、動きたいが、三角形を作り、各要素が互いに関係し合っています

「作りたい」「見たい」「動きたい」。光島さんは現在も、この間を行ったり来たりしているそうです。

回路56

「作りたい」「見たい」「動きたい」の循環から作品が生まれる

スタッフと協働しておこなう作品づくり

作品を作りはじめた当時は、何でも自分やろうとしていた光島さんですが、今は、「アトリエみつしま」としての作品作りに変わってきました。
「作品を作り始めた頃は、サポートされるのが嫌でした。粘土作品は焼かなければいけません。でも、僕は焼くことも色付けすることも出来ない。ぼくは自分でやりたかったんです。

色々な人と接するようになって、他の芸術家が全て自分1人でやっているわけではない、ということが判りました。10数年前からは、サポートしてもらうことは恥ずかしくないと思うようになり、チームとして積極的にサポートしてもらうようになりました。作品作りも指示を出してやってもらいます」

 

筆者もつい最近まで、人に頼るということは難しいことでした。難しいと思うことでも、どうしても自分でやりたい、やらなければならないと思っていました。しかし、決してそのようなことはなく、助けが必要であれば頼って良いのだと判りました。

光島さんが作品を作られている時の写真です。ガラス面に貼られた青いカッティングシートの上に、白いテープを立体的に貼り付けようとしています。

当初光島さんは、ラインテープや粘土を使って制作をされていましたが、さわって欲しいとの考えから釘を打ち込んで作品に取り入れるようになりました。

 

釘はアシスタントさんに打ち込んでもらいます。

 

また、光島さんの作品には色も使われているのですが、その選び方は、まず光島さんが思い浮かんだ色のイメージをアシスタントさんに伝え、アシスタントの方が色を選び、光島さんとその色を選んだ理由や色の様子をやり取りしながら、光島さんが最終決定をするという流れで決めるそうです。

 

そんな風に作品作りにも関わるアシスタントさんは、どのように探されるのか、伺ってみました。

 

アシスタントさんやサポーターさんは募集されているわけではなく、ワークショップなどで自身に興味を持ってくれそうな人を「口説いている」(!)と言います。

 

「(鑑賞者に)感想を言葉にしてもらい聞くことを大切にしています。色々な言葉を引き出して、そこから作品作りのインスピレーションを受けることもあるし、知り合いの中でぼくに興味を持ってくれそうな人がいるなと思ったら声を掛けて、口説いています(笑)」

 

「口説いている」というのは光島さんのユーモア溢れる言葉の1つかと思いましたが、インタビューに同席したスタッフの方とお話している際「僕のところにお手伝いに来ませんか?」と実際に口説いていたので、語弊はないなと思いました。

 

現在は2名のアシスタントがいて、作品制作のサポートやマネジメントをしていらっしゃいます。

 

アシスタントさんと接する際には、光島さんは、アシスタントさんと対等な立場でフランクに言いたいことが言える関係でいたいと考えているそうです。

 

「思ったことは作品についても言ってもらいたいし、制作の場面では、見える見えないにかかわらず、言いたいことを遠慮なく言えるような環境を作るようにしています」

 

ねぇ?と一緒にお話を伺っていたサポーターの方に光島さんが問いかけています。
サポーターさんは「はい(笑)」と少し恥ずかしそうに笑うのでした。

回路57

全て一人で担う必要はなし。チームの力を信じてみる

さわることは自分自身が生きていくための方法でもある

光島さんの雨の木という作品の写真です。雨が青い丸と線で表現されています。
「雨の木」

光島さんに、作品を通じて共通して伝えたいテーマや、様々な鑑賞者に対して「このように楽しんで欲しい」という希望はありますか?と問うと

 

「見えない人にはもちろん作品をさわって欲しいし、見える人にも作品をさわって欲しいです。今は接触を避ける傾向がありますが、さわる感覚を大切にして欲しいと思います。

『さわる』ということを見直して欲しいです。さわることは自分自身が生きていくための方法でもあります。そのために、見えていてもさわりたくなる作品を作りたいと考え中です」

 

という答えが返ってきました。見える人には、見て楽しみ、さわっても楽しんで欲しいという思いが強いようです。

 

筆者は写真撮影が趣味です。写真はさわることが出来ません。しかし、言葉で伝えることは出来ると思います。そこで、写真の話を持ち出してみると、光島さんも以前写真撮影をしていたことがあったそうです。

 

撮った写真を他の人見てもらって、何が写っているのか説明してもらい、確認してスライドショーのような作品にしていたと話されていました。

 

しかし、例えば海の波の音、道路を曲がった時の風など、瞬間を作品にしたいと思った光島さんにとっては、納得のいく作品が出来なかったと言います。
iPhoneには音を保存出来る写真機能がありますが、これも難しかったとも話されていました。自身が感じたことが写真になっていないように感じて、今は写真の撮影を中断しているそうです。

 

美術館への行きづらさを感じたことはない

筆者は体に不自由はなく、いわゆる「見える人」ですが、地元の美術館に対して、坂の上まで登ったり、エスカレーターを使用して高層階へ行ったりという「美術館への行きづらさ」を感じたことがあります。

 

一方、光島さんはそのような経験はないと言います。

 

「なるべく一人で行って、一人で展示を観ることも大切だけれど、誰かと行くこともまた大切だと思います。また、美術館は異次元の場所だと思うので、駅から離れているなど、距離感があることには、あまり違和感を覚えません。駅から迎えに来てくれるなどのサポートがあると良いとは思いますがね。今はこのご時世なので、美術館に行くことを躊躇してしまいます。

オンラインでの鑑賞に興味があります。言葉で鑑賞が出来ますし、対話鑑賞もしたいですし。そうすれば、遠いところも、一瞬で繋がることが出来ます」

 

オンライン鑑賞のお話が出たので、光島さんのSNS等の活用方法について伺ってみました。
昨今では、SNSやブログなしに活動を拡散させることは非常に難しいと筆者は考えます。

 

「自分の情報や、絵だけでは伝えられないものを、言葉や声を使ってメディアで伝えたいです。Twitterをやっていた時期もありますが、今はラジオやブログを使っています」

 

アトリエみつしまラジオ
▶︎https://anchor.fm/mitsuhari/

 

実際にこうしたSNSを利用している光島さんにとって、配信準備や投稿作業は、情報を受信する以上に大変なものなのだそうです。

 

「視覚障害者への受動的な情報サポートは認知されてきて、(自分で)行うことが出来るようになりましたが、ラジオやブログで配信する能動的な立場に視覚障害者が立つのは困難な状況で、自力では難しいと思います。本当は自分で全て出来る、自己完結で出来るのが理想だけど、なかなか難しいですね」

回路58

情報の受信だけでなく、情報の発信方法にもバリアフリー化が必要

アレもコレも大変

光島さんの山という作品の写真です。木の板の上に、様々な形に切り取られた紫、赤、青のカッティングシートがあります。また板の上に大小の釘が曲線を描きながら打ってあります。
「山」(Photo: アートと障害のアーカイブ)

最後に、これまでの活動を振り返ってみて、今やってみたいと考えていることをお聞きしました。

 

「創作活動を始めた頃は何もかも全部一人でやろうとしていました。しかし今では、自分一人で出来ないことはスタッフに手伝ってもらうというスタイルへと変化しています。
今までは本職の鍼灸師の片手間にアートに関わっていましたが、67歳という年齢も考えると、やれることを今のうちに何でもやってしまいたいという気持ちになりました。

頭の中でアレもコレもやりたいことがあるので大変です。これ以上やるとスタッフを困らせるかもしれないので、新しいことに手を付けるのはほどほどにしないとですね(笑)

今は『反復』がテーマになってきました。さっき言ったような写真撮影をまたやるかも知れないですし、昔刺繡糸などの紐を使って作品作りをしていたので、それもやりたいです。昔は繰り返すことが嫌いだったんですけどね。

ラジオは人をインタビューしながら作るので、作品作りのヒントを得られますし、鑑賞するよりも自分で動いた方が早いし解るので、自分の動きを発展させることが出来ます」

 

沢山の展望。そして、笑いながら続けます。

 

「待ちの、受け身の姿勢から積極的に仕事を取りに行くようになりました。ホームページの充実、ラジオ配信を行いたいと積極的な気持ちになりました。あとは去年アトリエみつしまSawa-Tadoriという制作場所兼レンタルスペースをオープンさせたので、そこのオーナーとしての手腕が今後の課題です。このご時世でレンタルの利用者が入らなくて予算が回りません。面白い展覧会を作るとか企画が必要です。障害者雇用の援助はありますが、障害者が経営者になった場合の補助はありません。自分でやっていくしかないんだなぁと感じています。何か良い宣伝方法はありませんかねぇ?」

 

この言葉を聞いて、「筆者が多いに宣伝しましょう」そんな思いが湧き上がりました。

 

アトリエみつしまは京都市北区にあります。工場跡をリノベーションした、木造の建物で非常に魅力的なスペースです。

 

アトリエみつしま
▶︎https://mtsm.jimdofree.com

 

京都府在住の読者さん、是非アトリエみつしまをご利用ください。

アトリエみつしまの建物の外観写真です。表面がタイル貼りの2階建てです。1階の中心にドアがあり、左右に窓があります。
アトリエみつしまの外観

終始穏やかな声と口調でお話してくださいました。俗に言う「イケメンボイス(イケボ)」の光島さん。沢山のお話を聞かせていただき、ありがとうございました。


執筆者

渡部里美

1988年、静岡県生まれ静岡県育ち。15歳にうつ病、28歳に広汎性発達障害と診断。接客、サービス業を中心に10カ所以上で従事したのち、現在は別名義でnoteにエッセイやマガジンを投稿中。趣味は写真撮影とカラオケ。写真はInstagramに投稿。

 

協力
サニーバンク

サニーバンクは、株式会社メジャメンツが運営する障害者専門のクラウドソーシング サービスです。「できない事(Shade Side)で制限されてしまう仕事より、できる事(Sunny Side)を仕事にしよう。」をテーマに、障害者ができる仕事、障害者だからこそできる仕事を発注して頂き、その仕事を遂行できるサニーバンク会員である障害者が受注するシステムです。
障害者が働く上で「勤務地の問題」「勤務時間の問題」「体調の問題」「その他多くの問題」がありますが、現在の日本では環境が整っているとはいえない状況です。障害があるために働きたいけど働くことが困難、という方に対して、サニーバンクでは「在宅ワーク」という形で無理なくできる仕事を提供しています。

※本記事は、2021年7月9日に取材執筆を行いました。記載されている情報は執筆時点のものとなります。

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