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全盲のフィールドワーカー広瀬さんに聞く「無視覚流」のすすめ

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投稿日:2023/11/24

こんにちは、THEATRE for ALL編集部の篠田です。本記事は、2020年からnoteを中心に連載していた記事シリーズ「100の回路」の第1回目を再編集してお届けします。

「100の回路」シリーズとは?

回路という言葉は「アクセシビリティ」のメタファとして用いています。劇場へのアクセシビリティを増やしたい我々の活動とは、劇場(上演の場、作品、そこに巻き起こる様々なこと)を球体に見立てたとして、その球体に繋がる道があらゆる方向から伸びているような状態。いろんな人が劇場にアクセスしてこれるような道、回路を増やしていく活動であると言えます。様々な身体感覚・環境・価値観、立場の方へのインタビューから、人と劇場をつなぐヒントとなるような視点を、“まずは100個”収集することを目指してお届けしていきたいと思っています。

今回のゲストは広瀬浩二郎さん。

さて、今回のゲストは、「座頭市流フィールドワーカー」広瀬浩二郎さんです。広瀬さんの重要なキーワードのひとつ「ユニバーサル」。バリアフリーというと、障害を持つ人にとって、生活の中の障壁を取り除いてくれるもののことですが、ユニバーサルデザインとは、障害のある人にとってもない人にとっても良いことがあるデザインのこと。ユニバーサルなミュージアムとは、それぞれの人が、それぞれの文化、価値観、身体、言語を持って楽しさを共有できるようなミュージアムのことで、広瀬さんは長年、その実践研究に関わってこられました。

国立民族学博物館の触れるコーナー。鳥のトキの模型の前で、著書を持ってニッコリ微笑む広瀬さんのお写真

広瀬浩二郎(ひろせ・こうじろう)

自称「座頭市流フィールドワーカー」、または「琵琶を持たない琵琶法師」。1967年、東京都生まれ。13歳の時に失明。筑波大学附属盲学校から京都大学に進学。2000年、同大学院にて文学博士号取得。専門は日本宗教史、触文化論。01年より国立民族学博物館に勤務。現在はグローバル現象研究部・准教授。「ユニバーサル・ミュージアム」(誰もが楽しめる博物館)の実践的研究に取り組み、“触”をテーマとする各種イベントを全国で企画・実施している。『目に見えない世界を歩く』(平凡社新書)、『触常者として生きる』(伏流社)、『それでも僕たちは「濃厚接触」を続ける!』(小さ子社)など、著書多数。

 

視覚に障害をお持ちで、触覚の第一人者として、ユニバーサルミュージアムに長年取り組んでこられた広瀬さんに、舞台芸術作品や劇場へのアクセシビリティを高めるための視点についてお話を伺いました。

副音声が面白い!音と声と言葉の可能性を感じる色々なガイド

インタビューの最初に、これまで広瀬さんが鑑賞されてきた舞台体験のうち、印象に残っていて面白かったものについてお聞きしました。最初に教えてくださったのは、東アジアにルーツを持つ俳優たちによる劇団「イエロー・アース・シアター」と、視覚障害を持つパフォーミング・アーティストの集団「エクスタント(Extant)」のコラボレーション作品「Flight Paths」。日本の瞽女(ごぜ)を扱った演劇で、イギリスで上演されたようです。瞽女というのは、その昔、音楽を奏でながら、旅をして生計を立てていた盲目の女性芸能者。「副音声って、聞く人と聞かない人ができてしまうでしょう。つまり、副音声ユーザーは鑑賞体験としてちょっと孤立してしまう。でも、この作品の音声ガイドは、作品の中に表現として組み込まれているので、障害の有無に関係なく同じように音声ガイド付きの作品を楽しめるっていう工夫がされているもの。」

 

なるほど、見えない人のためのガイドというのではなく、作品をより理解するためのユニバーサルなガイドのあり方を探ったものだったようです。

回路12

見えない人のためのガイドというのではなく、作品をより理解するためのユニバーサルな音声ガイドのあり方を探る

話はそこから、音声ガイドや音で楽しめるコンテンツの話へ。広瀬さんのお気に入りの副音声はドラマ『相棒』のものだそうです。「『相棒』は、役者の表情まで細かく解説してくれて面白いんですよ。でも、NHKの連ドラの副音声は必要最小限で洗練された感じで、それが好きという視覚障害の方もいらっしゃるけど、僕は少し物足りなく感じるタイプですね」とのこと。
また、現代の音訳と呼ばれる音の解説は、感情を排除し、淡々と読むというものが主流だそうですが「アナログな時代のボランティアのおっちゃんが方言混じりに熱っぽく読んでくれた朗読も面白かったなぁ。」そんなお話を聞いて、あらすじを知るということとは別の次元にあるような、誰かの身体を通した音や言葉の味わいについても考えさせられました。

回路13

誰かの身体を通した音や言葉の味わいがある副音声の面白さ

また、広瀬さんにとって印象的だった副音声のエピソードとして『彼らが本気で編むときは』という映画が話題に上がりました。主人公の性的マイノリティの男性が男性器を編み物で108つくり(煩悩の数)燃やして決意を固めるシークエンスがあった時のこと。副音声では、その毛糸で編まれたものが「編みチンコ」と翻訳されていたそうです。

 

「一言で言い表す必要があったのか、様々なプロセスを経て、そのシーンをどのように表すのか検討が重ねられたのだと思いますが、シリアスなシーンがちょっと笑えてしまうシーンになってしまって。これをいいと思うか悪いと思うか、人それぞれだろうけど、僕はこれはこれで面白いと思った。晴眼者にもぜひ聞いてみてほしい。」

視覚に障害のある人はダンスをどのように楽しむ?

演劇や映画のようなストーリーのあるものは副音声で楽しめる部分がありますが、視覚障害のある方がダンスを楽しむとはどういうことなんだろう?この話題は私たちのプロジェクトチーム内でも議論されていました。広瀬さんとしては、「ダンスは観ても観えないし仕方ないから、やりたい、参加したいというスタンス」だそうです。

 

広瀬さんご自身、最初は人の動きが見えないから、自分だけ変な動きしてるんじゃないかとか嫌な気持ちになったけれど、途中から「視覚を使わない自由みたいなもの(芸術性というよりは、開放感みたいなもの)」を感じて、参加すること自体を楽しむようになったそうです。「障害があると、基本的に危ないからという理由で“放し飼いにしてもらえない”」ダンスの間はほっといてもらえる、というのは開放的な感覚だったとのことでした。

回路14

視覚を使わない自由がある

「視覚障害とダンスみたいなテーマのイベントがある場合に、視覚障害の人を集めるほうに苦労することが多いんです。健常者の人からすると、目の見えない人が動いてダンスするだけで、すごい!ってなったりするんだろうけど、視覚を使わない人の個性が発揮されたダンスの取り組みみたいなものはなかなか出てきていない。」とのこと。そういう実験的な作品がもっと生まれて欲しい、そんな作品を作ってみたい、とお話されていました。

 

広瀬さんは「マイノリティの文化をマジョリティに持ち込むのが面白い」という考えで「無視覚流」として活動されています。これまで「触る」ということを軸に、町歩きのイベントを多数企画されてきました。音、匂い、足裏、手をつかってマッピングをしていくようなワークショップです。

国立台湾美術館の屋外ワークショップ、3メートルほどのモニュメントによじ登り触る広瀬さんの写真。その様子を3名の参加者が見守っています。

「手話とダンスっていうのは最近ありますが、視覚を使わない人の身体運動、物を触って把握していく姿自体を見せてダンス作品にできないか、ということを考えたことがあります。モノクロームサーカスの坂本さんが実は同級生で、コンタクトインプロビゼーションと何か一緒にできないかなという話になって。」

 

触れている場所を感じながら動くことは、視覚に障害のある人にとっては普段人の腕を借りながら歩いているときにもある感覚だそうです。気心が知れてきたらガンガン押してみる、とかまだそこまで付き合いがない人とはソフトタッチで…といった「肘のコミュニケーション」が発生しているとのことでした。誰かの身体と接続して生まれてくるダンス、物を触る中で生まれてくるダンス、コミュニケーションの接点に出てくる動きを楽しむようなダンス創作の実験をTHEATRE for ALLの中でも、広瀬さんとお取り組みしてみたいなと思いました。

回路15

マイノリティの文化をマジョリティに持ち込むのが面白い

視覚優位の時代。声と音で何ができるのか?広瀬さんのこれから

「ところで先日ね、盲学校の文化祭に行ったら、見えない学生が作っている文化祭なのに、見えない人がどうやって楽しむのかという視点が抜け落ちていてがっくりきたんです。晴眼者の先生が多いのもあるかもしれないが、見えない人同士で面白いことやろうぜ!という感じじゃなくなっている。」

 

特別支援学校になって、インクルーシブ教育が主流になってきたなかで、勉強が得意な子は、視覚障害があっても一般の学校に行くことが増え、盲学校が当事者にとって魅力的な場所ではなくなっているのではないかという懸念があるそうです。盲学校は、卒業して生きていくための勉強をするということに加え、当事者同士の繋がりを作っていくための側面もある。視覚障害者コミュニティの中で見えない人同士で楽しむ方法を一緒に考えていく機会や場所が減りつつあるように感じるとのことでした。

 

「盲学校がもっと魅力的じゃなきゃ。視覚障害者の文化もコミュニティも育たない。」

 

ちなみに、歴史研究者である広瀬さんにとっては、旅をして語る瞽女や琵琶法師の精神を復活してみたいという研究者としての願いがあるそうです。最後の琵琶法師の平家語りを生できいた時、瞽女の小林ハルさんの歌を聞いた時、音、声が想像させる物語世界の豊かさに感銘を受けた経験が今のご活動につながっています。「視覚優位の時代に、声と音で何ができるのかということに興味がある。」THEATRE for ALLとしても、音のあり方について研究を重ねていきたいところです。次は広瀬さんと作品づくりもご一緒できることを楽しみに、尽きないお話の名残を惜しみつつ、お開きとなりました。

回路16

視覚優位の時代に、声と音で何ができるのか

実は、コロナ禍で延期になってしまいましたが、この9月より、広瀬さんのユニバーサルミュージアムの集大成として大阪の国立民族学博物館での展示が開催予定でした。そんなこともあってコロナ期間中にWebで連載されたものをまとめて1冊の本を発売されました。オリンピック・パラリンピックが終わったその先に、社会包摂、ダイバーシティ、ユニバーサルな取り組みを一過性で終わらせないために。広瀬さんの長年のご研究がギュギュッと詰まった一冊、ぜひぜひ皆さん読んでみてください。

広瀬浩二郎著『それでも僕たちは「濃厚接触」を続ける!世界の感触を取り戻すために』
▶︎https://www.chiisago.jp/books/?code=9784909782069

 

廣瀬さんの書籍の書影、表紙には緑と青の丸が散りばめられたグラフィックとその丸模様に沿うような点字の模様が散りばめられており、視覚的にも触覚的にも楽しいデザインになっています。

 

また、広瀬さんの研究者になるまでのお話などはこちらの記事に詳しいです。よろしければ合わせてご参照ください。(下のリンクを押すと外部サイトに遷移します)
▶︎https://fabcafe.com/jp/magazine/kyoto/report_180316_fukakujitu2/


執筆者

篠田栞(しのだ・しおり)

平成2年、奈良出身。広告、デザイン・クリエイティブの会社の企画営業職を経て、フリーランスの編集・ライター。THEATRE for ALL コミュニケーションチーム統括として、システム開発からコミュニティ形成、営業活動までの立ち上げに関わる。現在、THETATRE for ALL編集長。また、アングラ演劇少女だった建築家の母と音楽家だった父の影響で2歳から演劇の舞台に立ち、大学よりお能のお稽古にはまる。日本の芸能の身体が好きで、国内外で創作仮面劇の上演を行なっている。

 

※本記事は、2020年11月25日に取材執筆を行いました。記載されている情報は執筆時点のものとなります。

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