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アクセシビリティは芸術にとって邪魔ものか?『Left and Right』の創造的アクセシビリティ
田中みゆき×Molly Joyce

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投稿日:2023/07/12

身体表現を観客に届ける過程で生じるさまざまな障壁を、それぞれの作品がそれぞれの手法で乗り越え、アクセシビリティをあらゆる人に向けて開いていくためには?

作品に込める思いを、障害のある人、使う言語が違う人など多様な身体とわかち合い、さらなる表現へとつなげていく挑戦の数々を結集させたフェスティバル「TRANSLATION for ALL」が2023年5月〜6月に東京のリアル会場とオンラインで開催された。

今回は配信プログラムとしてMolly Joyce and Jerron Herman『Left and Right』をキュレーションした田中みゆきと、その作者の一人であるMolly Joyceの対談をお届けする。音楽とダンス、そして音声ガイドによって構成され英語字幕が付されたこの映像作品では、アクセシビリティが芸術的要素として作品の中心に組み込まれている。二人の対談を通して芸術作品とアクセシビリティの関係について考えたい。

 

 

 

左と右の神話を掘り下げる

田中:私は2017年から「音で観るダンス」という、視覚障害がある人たちと一緒に複数の視点からの音声ガイドを通してダンスを鑑賞することによってダンスのイメージをいろいろな側面から考えるプロジェクトに取り組んでいるんですけど、その話をいろんな人にしていたときに、絶対Mollyに会った方がいいよと言われて『Left and Right』を紹介されたんです。この作品では、いわゆる情報保障として起こっていることを描写するだけではない、いろいろな側面からアクセシビリティにアプローチをしていて、そういうところは確かに「音で観るダンス」と共通しているなと思いました。

Mollyさんは『Left and Right』のあとに、今回は紹介できていないのですが『Perspective』という、アクセシビリティやケア、障害者の文化についての当事者たちの声を軸にしたアルバムも出されていたりすることもあって、今回のTRANSLATION for ALLでMollyさんを紹介したいと思いキュレーションしました。

Mollyさんにはまず、どうして『Left and Right』という、タイトルの通り左と右の関係性を軸にした作品を作ろうと思ったのかというところからお聞きできればと思います。

 

Molly:この作品は私が何度もコラボレーションしているJerron Hermanさんとのシリーズの一環として作ったものです。Jerronさんと私には共通点があって、私はずっと昔に交通事故で左腕に障害を負っていて、彼は脳性麻痺の障害が特に左側に現れている。先天性か後天性かなどの違いはあっても、左側に何らかの障害を負っているという点はふたりに共通していて、それを掘り下げるような共同作業をしてきました。

それで前回のプロジェクトが終わったときに、Jerronさんから左にまつわる神話というものをもう少し掘り下げてみないかという話があったんですね。たとえばsinisterという英単語には悪意がある、邪悪な、不吉なという意味があるんですけど、もともとのラテン語では左という意味だったりするんです。左という概念とネガティブなものとの結びつきは、時代を超えていろいろな文化の中に見られる。そういう左や右についての神話を掘り下げようという話になりました。

創作のスタートからアクセシビリティを組み込む

田中:『Left and Right』では作品が出来上がってからアクセシビリティを加えるのではなく、最初からアクセシビリティが組み込まれたかたちで創作のプロセスがスタートしています。そのようなかたちで作品を作ろうと思ったのはなぜでしょうか。

 

Molly:Jerronと私の前作というのがまさに、創作プロセスの最後にアクセシビリティのことを考えるということをやって、それが本当に難しかったんです。それだとどうしてもアクセシビリティ関係の作業を急いでやらなければならないですし、そのタイミングではできないこともいっぱいある。それで今度はアクセシビリティを前面に出すということをしようということになりました。

音声ガイドというのは作品が完成した後に付けられることが多いんですが、そういう場合の音声ガイドは、視覚障害がある人たちに対して、どういうことが今見えていますよという情報を保障する、そういう意味ではすごくドライなものが多いんですよね。

そうではなくて、たとえば音声ガイドという要素をいかにアーティスティックに使えるのかということを作品の根幹に置いて作ろうと考えたときに、それはすごく可能性があってエキサイティングだなと思ったんです。

 

田中:コラボレーターとしてアクセシビリティのスペシャリストであるMaxさんを迎えることになったのも、作品のそのような方向性のためでしょうか。

 

Molly:私自身もアクセシビリティのことをもっと考えるために博士課程に進学することを考えていて、当時いろいろな人にアドバイスをもらっていたんです。そのなかで、アクセシビリティの美学ということを研究している人がいるということでMax Greysonさんを紹介してもらいました。Maxさんは研究者であると同時に詩人でもあり作家でもあります。彼の活動がすごく面白かったので、次に何か機会があったら一緒にやろうと思っていたところに、たまたまいいタイミングで協働する機会があったということです。

Maxさんを加えて中心となるアーティストが三人になったので、作品も三つのセクションに分けて作ろうということになりました。三つのセクションはそれぞれ出発点が異なっています。たとえば最初のセクションは音楽から始まってそこにダンスと音声ガイドが加わっています。次のセクションはダンスから始まって音楽と音声ガイドが、その次は音声ガイドから始まって音楽とダンスが加わる。

もちろん最初から全てが決まっていたわけではなくて、ワークインプログレスのプロセスを経てのことですけど、創作を始めたのがちょうど2020年の秋のコロナ禍の最中だったので、リモートで作業ができるということもあってこの形式になりました。

アクセシビリティは芸術性を阻害するか?

田中:『Left and Right』は作品全体を通してアクセシビリティと芸術性のバランスみたいなものがすごく流動的に変化していく作品だと思います。この作品に限らず、一般的に芸術性とアクセシビリティのバランスということについては人によって考え方も違っていて難しいところだと思うんですけど、そのあたりをどう考えていったのか教えてください。

 

Molly:アクセシビリティと芸術性の境界線というのはすごく曖昧で、だからこそ難しいけどチャレンジでもあります。

以前Maxさんが強く言っていたのは、アクセシブルであることは前提条件であるべきだということなんです。そうすると、情報保障がされていないということはすでにその作品には何か欠けているということになる。

たとえば『Left and Right』では音声ガイドが歌の歌詞になっているところがあって、それはつまり音声ガイドが作品の一部になっているということなんです。今回の作品では、字幕とか手話とかそういうものが作品にとって追加的な要素ではなく、統合された作品の要素の一つであるということにとても注意しながら作品をつくりました。

その作業は私にとってはすごく楽しいものだったんですけど、これまで一緒に作品を作ってきた人のなかには、たとえば作品の一部として字幕を入れることに抵抗があるとか、手話で通訳をされることには抵抗があるという人たちもいました。でもそれは社会的に植え付けられたイメージがあるからだと思うんですよね。字幕や手話は美的には好ましいものではない、視覚的・聴覚的に邪魔になるものだけど、情報保障のためにはつけなければいけない、みたいな。私はそこにこそ挑戦していきたい。そうではないんだと見せていくことに大きな意義があると思っています。

 

田中:アクセシビリティを考えるときに、障害のある人と障害のない人に全く同じ体験をしてもらおうとするとすごく情報過多になってしまって、逆に作品が面白くなくなってしまうということは十分に起こり得ますよね。

 

Molly:本当にその通りで、ライブでのパフォーマンスは特にそうだと思います。たとえば映像作品だと、それぞれの障害を持っている人たちに対してのアクセシビリティごとに複数のバージョンを作っている人もいます。でも『Left and Right』では映像作品でもライブパフォーマンスでも、一つの作品で様々なアクセシビリティを考えるということをやったので、それはアーティストとしてもすごくチャレンジでした。

ライブパフォーマンスで『Left and Right』はどう変わったか

田中:今回の作品を観て、映像ならではの表現がある一方、映像だからこその難しさもあっただろうなと感じました。生のパフォーマンスだったら体がそこに存在しているというだけで発している情報、それを言葉にしなくても伝わる情報というのはたくさんあって、それは視覚の有無を問わず共有できるものだったりする。でもそれを映像にした途端、それは説明しなければ伝わらないものになってしまったりもします。『Left and Right』は映像作品が発表された後に、ライブでのパフォーマンスもされていますが、両者の違いについて教えていただけますか。

 

Molly:通常はまずライブパフォーマンスを作ってから、たとえばそのドキュメンタリー映像を作るという順序になります。でもこのプロジェクトは映像が先でそのあとライブパフォーマンスを作ったんですね。そういう意味でも、まさにコロナ禍のプロジェクトだと言えます。

映像というのはフレームの中で何がどこにあるかというのを作り手の側でコントロールできるので、その点では作りやすいと思うんです。でもライブパフォーマンスでは、空間に広がったオーディエンスに対して要素がどのように見えるかをデザインしなければならないので全く考え直さなければなりませんでした。客席を対面のかたちにしたのはそういうデザインの面での挑戦の一つです。

長さの問題もあります。映像は21分くらいなんですけど、ライブパフォーマンスとして見せようとすると、公演として見せるには短すぎるからもう少し何かやって欲しいという要求が出てくる。それで、作品のベースになったリサーチをもとに話すパートと、観客とのインタラクティブなやりとりのパートを加えたんです。三つのセクションそれぞれの最初に、そのセクションに関わる神話や二元論、非対称性などについてのリサーチをもとにした話をするパートを用意しました。一つのセクションが終わると、今度はアプリを使ってコメントや質問を受け付けられるようにしてオーディエンスとやりとりをする。そこではたとえばパフォーマンスの様々な要素のバランスについて意見をもらったりもしました。

手話通訳の可能性にも挑戦しました。ニューヨークで上演したときは3人の手話通訳がいたんです。1人は聞こえる通訳の方、もう1人は聞こえない通訳の方で、もう1人は聞こえない通訳に対して通訳をする聞こえる通訳の方でした。そういうかたちで3人の手話通訳に参加していただいたことで、パフォーマンスを大きく拡張することができたと思います。

実務的なことを言うと、そうやって複数の手話通訳を入れるのはものすごいお金がかかることなので、それがないとできない作品だということをプロデューサーや会場に最初から理解してもらっておくことがとても大事でした。アクセシビリティを最初から考えるということは、予算の時点でそれについて考えるということでもあるんです。

対談の様子(左:田中みゆき 右:Molly Joyce)

作家の倫理的な責任

田中:アクセシビリティがあることで『Left and Right』という作品はどう深まりましたか。

 

Molly:まず何よりも作品がより複層的になったということができると思います。それはいろいろな人が作品にアクセスするための入り口を作ったということでもあります。

自分が受けてきた音楽的な訓練のことをふり返ってみても、何よりも音楽を大事にする、芸術性を優先するということをやってきました。私がやっていることは、ある意味ではそういった教育に反抗するようなことでもあります。

 

田中:アメリカの障害のあるアーティストは、自分の作品を作るだけでなく、多くの場合、障害者コミュニティへの貢献となるような活動もしています。Mollyさんのアルバム『Perspective』にもそういう意志を感じましたがいかがでしょうか。

 

Molly:障害者アート全体を意識するようになったのと同時に、コミュニティへの貢献ということも意識するようになりました。特に、Judith HeumanやAlice Wongなど、障害者アーティストと一緒に活動することの多い障害者活動家に影響を受け、彼らと会うようになった2017年頃からということになると思います。

アクセシビリティのことを考えることは美的に重要なだけではなくて倫理的にすごく重要ですよね。私としては聞こえない観客がコンサートに来たときに、その人が全く何も体験できないような状況というのは、差別的だと思うぐらいになっています。だから、できるだけいろいろな人が体験できるためのオプションを作っていくというのは、作家の倫理的な責任だと思っています。


 

文:山﨑健太

 

※この対談は通訳(英語→日本語・日本語→英語)を介して実施しました。

※この対談はオリジナルの英語版についてのものですが、今回THEATRE for ALLで配信しているのは作品の英語字幕を日本語に翻訳したものが付されたバージョンです。日本語字幕のみを付した映像での鑑賞体験は、音楽、ダンス、音声ガイドと字幕が密接に結びついたオリジナルの英語版のそれとは大きく異なるものとなることをご了承ください。

プログラム情報

■『Left and Right』
日時:2023年7月7日(金)〜

視聴はこちらから!

 

上映時間|24分
料金|月会員1,800円/レンタル500円
アクセシビリティ|日本語字幕

 

作曲家+パフォーマー:Molly Joyce
振付家+パフォーマー:Jerron Herman

ディレクター:Austin Regan
脚本+音声解説:Max Greyson

サウンド・エンジニア:Michael Hammond
ビデオエディター:Hannah Rifkin
手話出演(ASL):Brandon Kazen-Maddox
手話監修(ASL):Shelly Guy
音声解説監修:Andy Slater

 

日本語字幕:田村かのこ、水野響(Art Translators Collective)

※本映像の日本語字幕は公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京【芸術文化魅力創出助成】の事業で製作されました

本作品のキュレーター田中みゆきさんから
鑑賞にあたってのおすすめコメント

アメリカの障害のある若手アーティストの中で最も注目を集めるアーティスト、Molly JoyceとJerron Hermanを中心としたコラボレーションの第一弾。Joyceはアクセシビリティにおいても精力的に活動しており、本作品では音声解説者のMax Graysonとニューヨークのアートシーンで広く知られるASL(アメリカ手話)通訳者のBrandon Karen-Maddoxが、作品の主要な要素としてと登場しています。作品はいくつかのセクションに分かれ、パフォーマンスと映像言語、アクセシビリティの関係において少しずつ異なる実験が行われています。音楽とダンスという主に非言語の芸術形式の翻訳をパフォーマンスに含めるあり方について考えるきっかけになればと思います。

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