投稿日:2023/11/24
「アートと福祉の現場に関わっていきたいのだけれど、何からはじめたらいいんだろう?」
文化庁委託事業「令和5年度障害者等による文化芸術活動推進事業」として、一般社団法人DRIFTERS INTERNATIONALが主催する、「障害のある人と考える 舞台芸術表現と鑑賞のための講座」がスタートしました。
劇場や美術館、博物館などの文化施設で働く人、アートに関わるつくり手、福祉施設で働く人。それぞれが現場を視察し、さまざまな分野の参加者同士で刺激しあい、共に考え、学び合うことを通じて、自分の現場にもちかえって、アクションを起こすことができるようになるまでをサポートする約半年間の講座です。
講座と上映会を通じ、障害当事者との創作現場で必要な視点や考え方などを学ぶ座学(入門編)と、実際に障害当事者との文化芸術活動に取り組む全国の施設の視察と受講生自ら企画を立てるワークショップからなる実践編に分かれています。
学術的なことから、現場から和気あいあいのレポートまでTHEATRE for ALLではシリーズでお送りします!これからオンデマンド講座の動画もご覧いただけるので楽しみにしていてくださいね!
入門編第1回「文化芸術の価値とは何か」
入門編第1回目の講師は、中村美亜教授。九州大学 大学院 芸術工科研究院で、文化政策とアートマネジメントをご専門にされ、文化芸術が社会を変化させるプロセス、アートとケアの関わりをテーマに、ご自身も福祉施設でのワークショップ企画やファシリテーションにも取り組まれています。
▶︎中村美亜 研究室
「芸術文化の価値とは何か」と題し、受講者自身が言葉の定義を理解するとともに、「芸術文化が開く、ダイバーシティ、インクルージョン、ウェルビーイングの可能性を展望できるようになる」ということを目的に、歴史的な背景や福祉現場の具体的な実践例、受講者への質問や質疑応答も交えながら進められました。
講座の中では、「そもそも、文化的価値とは?」「福祉、ケアの現場で文化芸術が発揮しうる変化や可能性は?」「社会包摂、インクルーシブな場とは?」「実際に、インクルーシブな場づくりを実践している福祉施設や劇場の取り組みは?」「ウェルビーイングを高める現場のデザインとは?」…など、障害当事者との創作現場で必要な視点や考え方を学んでみたい、これから実践していきたいという方にとって、軸となるような視点を提供してくださいました。
こちらの講座は、期間限定でアーカイブ動画もご視聴いただけます。ぜひこの機会にご覧ください。
「芸術文化の価値とは何か」アーカイブ
日程:2023年9月13日(水)19:30-21:00
講師:中村美亜(九州大学大学院芸術工学研究院・教授)
▶︎視聴する
※(アーカイブは本編・講義部分のみとなります。本編終了後の受講者を交えた質疑応答は含まれません)
また、入門編では、この後も、福祉と芸術の現場の第一線で活躍される講師の方々をお招きし、単発受講可能な講座を展開してまいります。受講を検討される方は入門編の詳細をご覧ください。
入門編
対象:劇場や文化施設の職員、アーティストなど全国各地の若手からシニアまで経験問わず受講可能
社会と舞台芸術のつながりを探している方
料金:通し券5,000円(オンライン講座全6回、上映会3作品鑑賞、交流会1回)
講座1回券:1,500円
上映会 1作品券:1,000円
詳細:https://theatreforall.net/lecture2023-24/
企画実践編第1回 「現場の声を聞く」川口太陽の家 工房集さん視察
わきあいあいと作品づくりや活動に精を出されている、入所者のみなさんとスタッフさんたち。制作されているところに研修メンバーがお邪魔すると、ご自身の作品を紹介してくださったり、名刺をくださる方も。川口太陽の家、工房集は、重度の障害のある方たちが自分らしく働き、表現活動をする場づくりに力を入れている施設です。
地域の企業からお仕事をもらってデザインをされている方、海外の有名美術館に作品が所蔵されている方、見たことのないようなユニークな作品を何年もかけて制作されている方。思わず目を見張ってしまうような作品の数々への驚きに加えて、スタッフさんが説明してくださる、それぞれの方にとってアートとの関わり、作品をつくることがどうして必要なのか、どうしてそのような制作スタイルが生まれたのか、というお話も勉強になることばかり。
今回が1回目となった、企画実践編の視察研修では、実際に、障害のある方たちの表現活動の現場を見学し、その活動を支える職員の方々から直接お話を聞くことで、より体感として、アートと福祉の企画をする上で必要な心構え実践的な知恵を得ることを目指しています。受講生は、福祉施設等の現場で働く方や美術館や劇場の職員をされている方、アーティストとして活動される方など幅広いバックグラウンドの方達。
オンライン講座や全国各地の4箇所の福祉施設への視察研修を通じて、障害当事者の生活状況や、施設の方々のケアのポイント、芸術とケアの接点や効果、 アートと福祉を通じた地域社会のあり方など、生の現場について学び、理解を深めた上で、自分の活動領域で実践できる企画(ワークショップや創作活動、鑑賞プログラム等)までを、専門家の助言を受けながら立案、実践していくという約半年間のプログラムを受講していきます。
この機会を皮切りに、全国の芸術文化活動に取り組む施設を視察する中で、受講生同士の学びのシェアも行われてゆきます。受講生が何を感じ取ったのか、どのように自身の活動につなげていくのか。
劇場・文化芸術のアクセシビリティを考えるメディアTHEATRE for ALLでは、一般社団法人DRIFTERS INTERNATIONALと連携し、今後も本事業「障害のある人と考える 舞台芸術表現と鑑賞のための講座」の入門編・実践編共に、その様子をお伝えして参ります。ぜひ、継続的にチェックしてみてください。
※企画実践編の受講生募集は締め切っています。