「I/O」
毛利悠子
ABOUT
隅田川沿いの鉄筋コンクリートのビルの4階に設置した毛利悠子のインスタレーション《I/O》の12月のある日の模様をおさめる映像詩。A4のロール紙、モーター、毛ばたき、ベルリラ(鉄琴)など、幾多の素材からなる《I/O》は、機械仕掛けで駆動し、ロール紙にくっついた塵や埃をセンサーが読みとり、電気信号として出力する循環的な構造を有している。人工物でありながら、どこか自然の生態系を思わせる作品を中心に、設置空間や屋外の様子までふくめ、大崎清夏の詩と玄宇民の映像で作品化する本作は、アートを感じるとはどういうことか、と問いかける。
作品の基本情報
- 上映時間
- 11分11秒
- 料金
- 無料
- 配信期限
- 2023年9月30日
- ジャンル
- アート
- シリーズ
- TRANSLATION for ALL
本作品のアクセシビリティ
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音声ガイド
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手話
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バリアフリー字幕
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字幕
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多言語対応
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吹き替え
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作家オリジナルのバリアフリー
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ノンバーバル
作品について
毛利悠子のインスタレーション《I/O》は、A4のロール紙、モーター、毛ばたき、ベルリラ(鉄琴)など様々な素材で構成された作品です。浅草の隅田川沿いにある鉄筋コンクリートのビルの4階、ここが映像の舞台になります。このビルはもともと木材の販売所でしたがその後、靴を取扱うようになり現在はアートやデザインなどに関わる会社が入ってきました。前の会社が引っ越し内装工事が入る前に《I/O》が設置されました。この部屋に入ると最初に見えてくるのはロール紙。天井から見上げる高さほどに吊られた2m×27cmの長方形の木枠からちょうどアルファベットのWのような形で垂れ下がっています。よくみるとモーターで紙がゆっくりと送られています。その構造体が2つあります。それぞれの木枠の中央あたりから白いケーブルの束が空間に広がりその先に電球が5個ぶらさがっています。また木枠の後ろのほうのケーブルの束の先には毛ばたきが5本、もう一つの木枠のほうには小さな振動モーターが5個繋がって、床に置かれた鼓笛隊のベルリラの上で震え叩き鳴らしています。
《I/O》は機械仕掛けで動いています。ロール紙が湿度や空気の流れといった展示室の情報とともに、床の埃や塵をすくい取ります。それらは、センサーで読み取られて、電気信号の入力/出力へと変わります。信号は毛ばたきやベルリラに送られて動作をコントロールしています。ですがその動きは予想ができません。思いもよらない動きさえも取り入れ柔軟に変化する本作は、人工と自然とが織りなす独自の生態系にもみえてきます。
私たちはこの空間に滞在し、日の出から日の入りの光で大きくかわる作品の様子を、大崎清夏の詩と玄宇民の映像に残していきました。詩が中性的な響きをもつ萩原慶の声で朗読され、やがて朗読の背景には紙が床に擦れる音やモーターが紙を送る機械音、車や鳥などの環境音が重なり、作品のあちこちで繰り広げられるごくささやかな信号の伝達が、豊かなサウンドスケープを奏ではじめます。
《I/O》のための断章
鑑賞者の代表として詩人の大崎清夏さんをお迎えし、《I/O》のための断章を書き上げてもらいました。大崎さんの詩は目や耳、または身体に届く様々な情景をそれぞれの人が想像できるきっかけの役割をしています。約10分の中で些細ながらも表情が変化する玄宇民さんの映像を詩の朗読とともに届けることで、美術館とは違った鑑賞体験ができるのではないかと期待しています。
詩のテキストのダウンロードはこちらから。
アクセシビリティについて
本作品のアクセシビリティについて
日本語と英語、ふたつのバリアフリー動画をご用意しています。タブを切り替えてご覧ください。
映像になにが映っているかをガイドした代替テキストを用意しました。映像の音とあわせてお楽しみください。
アーティストプロフィール
毛利悠子
1980年神奈川県生まれ。磁力や重力、光など、目に見えず触ることのできない力をセンシングするインスタレーションを制作。主な個展に2018年「Voluta」カムデン・アーツ・センター(ロンドン)、2018年「ただし抵抗はあるものとする」十和田市現代美術館ほか、数々の国際展およびグループ展に参加。2015年に日産アートアワードグランプリ、2017年に第67回芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。
クレジット
インスタレーション 毛利悠子
詩 大崎清夏
映像 玄宇民
朗読 萩原慶
音響 藤口諒太
作品設計 nomena アトリエセツナ
会場 nomena
設営 HIGURE 17-15 cas
制作スタッフ 伊藤里織 敷根功士朗
英訳 近藤学
マネジメント 金島隆弘+藤原羽田合同会社