投稿日:2021/03/12
オンライン型劇場「THEATRE for ALL」では、さまざまなバックグラウンドを持つ人々のドキュメンタリー映像が配信されている。ここでは4つの作品を紹介。全国からファンが集うミニシアター館主と9人のドラァグクイーンの半生に迫る、別府ブルーバード劇場「十人十色の物語〜今年90歳になる館長と9人のドラァグクイーン〜」や、“肛門日光浴”を実践するミュージシャンを追う「サンライズ・ヴァイブレーション」、全盲でありながら美術鑑賞を続ける男性を捉えた「白い鳥」、そして福島の全町避難になった町で暮らす男性の姿を見つめる「ナオト、いまもひとりっきり」をピックアップする。なお、それぞれの作品は字幕や音声ガイド、手話通訳などのバリアフリー・多言語対応で楽しむことが可能だ。多種多様な人生を歩む魅力的な人々の姿を通して、生き方のヒントを見つけてみては?
別府ブルーバード劇場
「十人十色の物語〜今年90歳になる館長と9人のドラァグクイーン〜」
みんなが生きやすい場所ってどんなところ?別府ブルーバード劇場とドラァグクイーンから学ぶ心のバリアフリー
大分県別府市の温泉街に佇むレトロな映画館・別府ブルーバード劇場。同館で2017年に始まったBeppuブルーバード映画祭には、毎年、華やかな衣装に身を包んだドラァグクイーンが全国各地から応援に駆け付ける。
ありのままの彼らとの交流を毎年笑顔で楽しんでいるのは、今年90歳になる名物館長の岡村照氏だ。誰にでもフラットに接する彼女のことをドラァグクイーンたちは「照ちゃん」と慕い、口をそろえて同劇場を「居心地のいい場所」と評する。そんな彼女たちの交流を追った本作では、劇場の魅力を描き出しつつ、みんなが生きやすい世の中について考えていく。
バリアフリー日本語字幕、英語字幕、英語吹替、そして日本語テロップ読み上げに対応。さらに女装パフォーマーのブルボンヌ、Campy! barの面々とともにLGBT、性の少数者について学ぶラーニングプログラムも鑑賞可能だ。
作品データ
■配信開始
2021年3月10日(水)〜4月30日(金)
■料金
1,000円(税込)
■上演時間
87分
監督:もりたじり(森田真帆 / 田尻大樹 from 別府ブルーバード劇場)
出演者:岡村照、ドリアン・ロロブリジーダ、ナナ・ヴィクトリア、虹子ロンドン、バブリーナ、パルプ、ブルボンヌ、ベビーヴァギー、ぽり美、レスペランザ(五十音順)
Beppuブルーバード十人十色映画祭
主催: 別府ブルーバード映画祭実行委員会
共催:別府ブルーバード劇場 / Zero
協力: 別府市 / 別府ブルーバード劇場
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太田信吾
「サンライズ・ヴァイブレーション」
“肛門日光浴”ってなんだ!? コロナ疲れを吹き飛ばす、笑いと学びありの健康メソッド
“肛門日光浴”なる健康法をご存じだろうか? 各国で話題のこの健康法は、肛門を日光に当てることによってビタミンDが生成され健康増進につながるメリットがあるのだという。
本作は、新型コロナウイルスが蔓延した2020年5月に撮影を開始。外出自粛により精神的な不調を訴える人が増加している中、ミュージシャンのリー・タバスコが、肛門日光浴を実践し周囲のうつ病患者を勇気付けていくさまが描かれる。
監督を務めたのは「わたしたちに許された特別な時間の終わり」で知られる太田信吾。太田自ら解説を行う音声ガイドや、日本語・英語字幕、手話通訳に対応したバリアフリー動画も用意されている。
作品データ
■配信開始
2021年2月5日(金)〜4月5日(月)
■料金
1,000円(税込)
■上演時間
20分
監督・録音・撮影・編集・CG:太田信吾
プロデューサー:チーウェイ・チャン
出演:リー・タバスコ、Frying Dutchman、本山大、眞木雄一、東川恵里子ほか
整音・マスタリング:久保田麻琴
制作:酒井清
デザイン・ウェブデザイン:チャタ
主催:Hydroblast
協力:TokyoDocs、Taiwan Korea Film Culture and Arts Association
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三好大輔/川内有緒ドキュメンタリー映画「白い鳥」
言葉でアートはもっと広がる、“見えない人”と“見える人”が共有する美術体験
全盲でありながら、20年以上にわたり美術鑑賞を続けている白鳥建二。目の見える人と会話をすることで作品を鑑賞する白鳥は、ノンフィクション作家の川内有緒やその友人たちとともに日本各地の美術館を巡ってきた。“触察”が多いとされる視覚障害者の美術鑑賞の中で、言葉を使って鑑賞する白鳥の取り組みは世界的に見てもユニークなものだ。
本作では白鳥の活動や旅、日常生活に密着。対話を通じて障害の有無を超えてアートへの視野が広がっていく様子や、障害者が美術館を楽しむことへの課題も映し出される。バリアフリー日本語字幕や英語字幕、音声ガイドに対応。さらに、白鳥と監督の三好大輔、川内が映画について語るアーティストトークのアーカイブ映像も配信される。
作品データ
■配信開始
2021年2月26日(金)~4月26日(月)
■料金
1,000円(税込)
■上演時間
50分
出演: 白鳥建二、佐藤麻衣子ほか
制作:アルプスピクチャーズ
監督 :三好大輔/川内有緒
撮影・編集:三好大輔
脚本・構成:川内有緒
音楽:佐藤公哉、権頭真由(3日満月)
アニメーション:森下豊子、森下征治(Ms. Morison)
サウンドデザイン:清水 慧
題字:矢萩多聞
スチール撮影:市川勝弘
制作補助:新谷佐知子
協力:茨城県近代美術館、水戸芸術館現代美術センター、大地の芸術祭 ほか
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️中村真夕「ナオト、いまもひとりっきり」
福島第一原発から12km、全町避難になった町に動物たちと残り続けた男の7年間
あいつらも、おれも国に捨てられたんだ。だからここに居続けてやる──。福島第一原発から12kmにある福島県富岡町。全町避難になったこの町に1人、捨て置かれた動物たちと残り続けるのが松村直登氏、ナオトだ。彼を追ったドキュメンタリー「ナオトひとりっきり」は2015年に公開され、日本だけでなく海外でもロングラン上映された。
続編となる本作でも、原発事故に翻弄され続けるナオトの生きざまを見つめる。月日は経ち、帰還できる町になった富岡町の今とは? コロナ差別が問題化する現在、改めて福島の人たちの痛みが浮き彫りになる。
監督を務めたのは「ハリヨの夏」でデビューし、「孤独なツバメたち~デカセギの子どもに生まれて~」「愛国者に気をつけろ!鈴木邦男」などを手がけてきた中村真夕。中村が自ら解説を行う音声ガイドや、英語音声ガイド、英語吹替、バリアフリー日本語字幕、バリアフリー英語字幕が用意されている。
作品データ
■配信開始
2021年2月12日(金)〜3月31日(水)
■料金
1,000円(税込)
■上演時間
94分
プロデューサー:山上徹二郎
監督・撮影・編集:中村真夕
副音声・字幕制作:パラブラ
主催:シグロ
共催:オンファロス・ピクチャーズ
協力:パラブラ
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