超衆芸術 スタンドプレー

オル太

ABOUT

2020年の東京オリンピックを目前に変わりゆく東京。宝くじ売り場、競艇場、駅の地下広場、高架下、工事現場を目撃する。路上に現れる不気味な笑い。
新国立競技場の構造モデルから設計したスタジアムを再現した舞台で、あぶり出される都市の無意識が演じられる。

オル太が2017年から展開しているプロジェクト『超衆芸術 スタンドプレー』は、日常の中で出会う笑いを引き起こす現象を調査し、都市生活の中で生まれる無意識の身体の動きや人為的に仮設された街頭のオブジェがもたらす無作為の状況について明らかにしていく。
都市に遍在する「勝敗と熱狂」の場における光景や言葉の記録、スケッチ、会話の断片を収集して再び演じることで同時代的な身体性を再構成する。
ロームシアター京都×京都芸術センターによるU35創造支援プログラム”KIPPU”に選出、ロームシアター京都ノースホールで上演された。

公開中

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作品の基本情報

上映時間
109分
言語
日本語
料金
〈レンタル〉 1,800円(税込) 視聴期間: 168時間 / 7日間 この作品はレンタル(PPV)でご視聴いただけます。*Vimeoの仕様上、お客様の閲覧環境によって金額が米ドル表示になる可能性もございます。
ジャンル
演劇 アート
シリーズ
TRANSLATION for ALL EPAD × THEATRE for ALL

本作品のアクセシビリティ

  • 音声ガイド
    非対応
  • 手話
    対応
  • バリアフリー字幕
    対応
  • 字幕
    非対応
  • 多言語対応
    非対応
  • 吹き替え
    非対応
  • 作家オリジナルのバリアフリー
    対応
  • ノンバーバル
    非対応

オリジナル版(アクセシビリティなし)と3つのバリアフリー動画をご用意しています。視聴ページに移動後、ご覧になりたいバージョンのリンクをクリックしてください。

  • 日本語バリアフリー字幕
  • 日本手話
  • 作家オリジナルのバリアフリー:英語字幕。セリフを話しているキャラクターのイラストから出る吹き出しに英語字幕が表示されます。

POINT!

競技で目にするハットトリックのように、視線を移せば町中にも、別様のスタンドプレーを見つけることができるだろうか。市井のスタンドプレーヤーたちは、消費社会が用意した娯楽を楽しみながら、社会のシステムからちょっとズレた、いわば「味のある人」の動きを見せる。信号機の表示で人々が一斉に行き交い、公園では家族連れが憩い、劇場ではちょっと背筋を伸ばした軽い緊張の中で舞台を見つめている。私たちは、知らず知らずのうちに都市が形作る規範の中で行動している。しかし街のスタンドプレーヤーたちは、画一化された集団のただ中で、「スタンド」であり続け、その身体がノイズを発し始める。舞台では、それらスタンドプレーヤーたちの日常のセリフや動きを、今度は出演者たちが演じ直す。それは、派手な立ち回りや、笑いと涙で大衆を湧かせる大衆芸能とは異なる俗っぽさで、パフォーマンスと演劇の狭間に不可思議、かつナチュラルに存在する、まさに「超衆芸術」である。

能勢陽子(豊田市美術館学芸員)レビューより

アーティスト・制作者 からのメッセージ

京都で宿から稽古場までの道を毎日約40分ほどかけて出演者の方と胸と背中に看板を身につけ、サンドイッチマンで往復しました。ちょうど海外でのコロナ関連のこと、オリンピック関連のことが連日ニュースで報道されていた時期です。マスクを袋いっぱいに両手で持っている外国人観光客の方を見かけるなと思った次の週には、マスクを売っているのを見つけるのが困難になっていたりと街の様子が変わっていくのを見て取れたと記憶しています。年始に大阪でタカハシ ‘タカカーン’ セイジさんと行った宣伝パフォーマンスでは、首から垂らした「大売り出し」と書かれたのぼりを「大吉」と誤読した男性に「大吉さーん、大吉さーん」と呼び止められ、宣伝方法のアドバイスをもらいました。また、新世界国際劇場を利用する際の心得、「目の前に集中しすぎてはいけない」と忠告してくれる方。こんな会話もスマホにメモし脚本に組み込んでいきました。劇中で語られる落語は、富くじに嵌ってしまった人の話『御慶』を扱っています。その噺を通して、噺家はペットボトルのお茶というモノの目線から、人間独特の欲望を滑稽に捉えようとします。

アーティスト プロフィール

オル太

 

2009年に結成した6名のアーティスト集団。メンバーは、井上徹、川村和秀、斉藤隆文、長谷川義朗、メグ忍者、Jang-Chi。第14回岡本太郎賞受賞。創造行為、ひいては人間の根源的な欲求や感覚について、自らの身体をパフォーマンスという形で投じ、問いかけている。 近年の活動に『ニッポン・イデオロギー(仮)』(YPAMディレクション、KAAT神奈川芸術劇場、2022年)『耕す家:不確かな生成』(アーカスプロジェクト、2022年)「青森 EARTH2019:いのち耕す場所-農業がひらくアートの未来」(青森県立美術館、2019年)「釡山ビエンナーレ 2016」(F1963、2016年)ほか。


新井麻弓 

1988年生まれ。2021年東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。国内外で様々な共同制作を重ね、2015年よりスイス出身の演出家・アーティストのニナ・ウィリマンとともにWillimann/Araiとして、台湾・スイスを中心に活動・発表。映像やパフォーマンスなどの手法で、社会のなかの他者と自己の複雑に変化し続ける関係性を炙り出すことに取り組んでいる。近年は、それらの関係性を国立公園や害虫、寄生菌といった非人間と人間との繋がりへと展開し、実践を続けている。2021-22年ポーラ美術振興財団在外研修員、2023-24年文化庁新進芸術家海外研修員としてスイス・チューリッヒを拠点に活動。

タカハシ ‘タカカーン’ セイジ

一時的に場を借り、または依頼され、他者を募り、集う。シンプルな参加条件を入口に、アウトプットは予定しない。そうすると他者同士尊厳を守れるし、思いもしなかった創意が発揮されるから。創作も含めて、すごす。すごすは、創作。「無職・イン・レジデンス」「京都レクリエーションセンター at 京都芸術センター」「『すごすと作品』展 at すごす/センター/家/AIR」が代表作。直近ではスペースかつ団体「すごすセンター」を京都市南区東九条に創設(2022年11月障害福祉サービス事業認可)。さらに、リサーチ・コレクティブ「ケアまねぶ」を結成し活動中。

 

玉木晶子

1983年生まれ。東京都を拠点に活動。2016年東京藝術大学大学院映像研究科修了。イメージの持つあやうさについて「見る」という経験から問い直す表現活動を行っている。主な活動歴に、「エマージェンシーズ!038 『A Pile of Coins』」(NTTインターコミュニケーションセンター[ICC]、東京、2019)、「OPEN SITE 2018-2019『ブレイク タイム No.6』」(トーキョーアーツアンドスペース、東京、2019)、など。

 

山本悠

1988年与野市生まれ。2012年多摩美術大学美術学部絵画学科卒業。良い心を持っているイラストレーター。イラストレーションを中心に、展覧会、出版物、広告、音楽作品などの分野で活動する。近年の主な発表に、角銅真実「Dance」のミュージックビデオや、網守将平「パタミュージック」のアートディレクション、砂山太一、浜田晶則の展覧会「鏡と天秤」のグラフィックデザインなど。休みの日は公園でビールを配っている。

クレジット

作・演出・美術:オル太
演出統括:Jang-Chi
出演:新井麻弓、井上徹、川村和秀、斉藤隆文、タカハシ ‘タカカーン‘ セイジ 、玉木晶子、長谷川義朗、メグ忍者、山本悠
クリエーション協力:新井麻弓、タカハシ ‘タカカーン’ セイジ、玉木晶子、山本悠
照明:藤本隆行(Kinsei R&D)
音楽、イラストレーション:井上徹
音響:加登匡敏(MUSA Enterprise)
映像編集:メグ忍者
CGデザイン:長谷川義朗
イラストレーション:斉藤隆文
映像:武部瑠人
制作:上村絵梨子
宣伝美術:山本悠
衣装協力:南野詩恵
映像技術協力:時里充
字幕操作:大和由佳
写真撮影:田村友一郎 
主催:ロームシアター京都(公益財団法人京都市音楽芸術文化振興財団)
共催:京都芸術センター(公益財団法人京都市芸術文化協会、京都市
協力:東京藝術大学大学院映像研究科、RAM Association
レジデンス協力:一般社団法人HAPS、常松庵

 

※本映像のバリアフリー版は公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京【芸術文化魅力創出助成】の事業で製作されました

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